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日本を愛する者が自覚すべきこと
 
高崎経済大学教授 八木 秀次
第九条(戦争放棄)が話題になることの多かった憲法改正論議。しかし、日本国憲法の“より本質的な問題”は、別のところにあった──。憲法問題に新たな視点から迫った八木秀次氏の著書『日本を愛する者が自覚すべきこと』より5編を掲載する。

1.まえがき

 日本国憲法は、この「日本」という国を、長い長い歴史を経て今日に至っているものとは考えていません。この憲法ができた昭和二十年か二十一年かに個々人が社会契約をして「新しい国家」をつくったという話になっているのです。

 これは「革命」理論です。

 今日の日本という国家は過去の歴史を継承・発展させたものではなく、終戦まもなく、日本に「革命」が起きてつくられた「新しい国家」である――そういうストーリーになっているのです。

 現行の日本国憲法が前提としている国家観は、本文で詳述するように、十七世紀イギリスの思想家ジョン・ロックが提示した社会契約モデルに基づいたものです。個々人の生命・自由・財産を安定的に保障するためにこそ人々が社会契約をして国家をつくったとする国家観です。

 問題は、この日本国憲法が前提としている国家観が、現在進行形で「革命」を推進していることです。平成に入ってから様々な「改革」が行われていますが、その背景にあるのは、個人を主体にして「新しい国家」をつくるという日本国憲法の国家観です。日本国憲法が歴史的な共同体である「日本」を否定し、「日本らしさ」を失わせるための国家改造の“哲学”を提供しているのです。

 日本国憲法を語るとき、一般には第九条の問題に集中しがちです。もちろんその問題も重要には違いないのですが、九条を含めてこの憲法の根底にあるのはどんな国家観であるのかを論じることのほうがよほど本質的な問題ではないかと思います。

 しかし、意外にもこの“より本質的な問題”がこれまで論じられたことは、ほとんどありませんでした。

 本書は、これまで誰も語ってこなかった日本国憲法の国家観がはらむ重要問題を、正面から取り上げるために書かれました。驚くような内容もあろうかと思います。 本書が今後の憲法改正論議に一石を投ずるものとなれば幸いです。

日本を愛する者が自覚すべきこと - 目次
プロフィール
八木 秀次 やぎ ひでつぐ
昭和37年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業。同大学院政治学研究科博士課程中退。専攻は憲法学、思想史。人権、国家、教育、歴史などについて保守主義の立場から幅広い言論活動を展開。現在、高崎経済大学教授、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長。平成14年、第2回正論新風賞受賞。
日本を愛する者が自覚すべきこと
八木秀次 著
誰も言わなかった日本国憲法の最大の問題点――それは歴史の切断と革命の増殖を内包している点にある。気鋭の論客による新たな視点!
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