【第2回 率先して平和の維持を】
■国連を中心とした共生へ
●小沢一郎 だからもう、そういう主権国家の覇権を争う時代は20世紀で終えて、新しい時代はやはり本当に世界というか、地球規模で協力して平和を守り、お互いに豊かに暮らしていくことを考えなければならない。まあ共生という言葉を使うか、平和と秩序の維持という言葉を使うか、いろいろ言い方はべつとして。
その中で経済的な交流や文化的な交流はいろいろな形でやりうるけれども、やっぱり政治、特に軍事という強制力の伴うレベルの話になると、いま言ったようにどこか特定の国家や集団で物事をなしてはいけない。
だから僕は「国連中心」と言っているんですけれども。それに対して「国連が完全に機能していないから、国連に頼ることはできない」なんて馬鹿なことを言う政治家が日本にうんと多いが、それじゃどうするんだということですよ。
じゃ、日本はどうやって存立を維持していくんだ、ということ。その答えもないのに国連が完全ではないと批判していても仕方がない。
日本というのは既存の仕組みで言えば、もうあらゆる意味において国連というものに象徴される世界の協調、共生、その中で生きるしかないわけです。それを守るためには日本はあらゆる犠牲を払わなくてはいけない。
たしかに一番の問題はアメリカですよ。アメリカがやっぱり本当にそういう考え方にならなければ、結局は国連も本物になっていかないですからね。だから、一番の大国たるアメリカを、日本が説得するぐらいの気概を持たなければいけない。日本がそれを政治的な役割として果たさなければいけない、と僕は思っているんですね。
ただアメリカは国連中心というのを一番いやがっている国ですからね。だから僕はかねてから、国連は常備の警察力を持て、それを自由に使って秩序を維持せよ。そのコストは常備軍を提供する主要国が負え、と言ってきました。
これが僕の持論なのだけど、ようやく最近イギリスのクック外相やブレア首相も、同じような趣旨の話を、僕ほど明確に言っているわけじゃないけれども喋るようになった。イギリスが言うようになったものだから、それで非常に希望を抱いているんですよ。何だかんだ言ってもアメリカはイギリスの言う通りというか、イギリス人の知恵にはかなわないですから。アメリカもその影響を受けてくれればいいと思ってますがね。
■国連での日本の役割
●小沢 僕はそれ以外に方法はないと思っています。だからまず、アメリカを口説かなければいけない。ただ、人を口説くには、まず自分がそれなりの役割を果たさなければね。「自分が進んでやるから、だから考えを変えてくれ」という話でなければ、誰も相手にしないですからね。
だから僕は、まあ話が飛躍するかもしれないが、たとえアメリカが「いやだ」と言ったって日本は自衛隊の全兵力を国連に預けてでも率先して秩序の維持、平和の維持をやるんだというぐらいのことをしないといけないと思っていますね。
本当に今のままだと、いろいろな意味で、政治的にまったく相手にされない。評価されない。それは最終的な結果として経済にも及んでくるわけですからね。
いま自分はその立場ではないからあまりアメリカへ行っておおっぴらに言う機会はないけれども、もしそれなりの立場に就くようになったら、日本の生存のためにも、世界の平和のためにも、私はアメリカを何としても説得しなければいかんと、そう思い込んでるくらいなんですよ。
○福田和也 こういう議論もありますね。国連の機能が低下しアメリカが相対的に孤立しつつあるのに、日本外交の姿勢は中ロと宥和して全方位的になっています。
そうではなくプラグマティックに、中・ロがアメリカと対抗している時には日本は、むしろアメリカとパートナーシップを強固にして、中・ロに対して毅然たる態度を取るべきだと。第一次世界大戦以降、イギリスがアメリカに対して取ってきたような立場ですね。アメリカが何かある時には、必ずアメリカに沿うという。
要するに国連というよりも、日米同盟の再定義を、それもいままでの受動的な関係から、非常に主体的な形で日本がアメリカに強くコミットしていく。孤立感を強めたアメリカに対してサポートをするし、アメリカとイニシアチブについて話し合って、影響力を再構築しつつアメリカとの協同で日本の生存を図るというような議論ですが、そういうことは?
●小沢 うーん、ですからその実態として、国連云々と言っても今言ったように、アメリカを口説かなければいけないということですし。
日本の外交、世界戦略……、今の日本には戦略も外交もないけれども(笑)、まああるとすれば、その中心に据えられるのは日米同盟ですよ、それしかないわけです。
ただ、僕はそれと、日中の友好親善というか協力というのは、全然矛盾しないと思う。というのは中国の国民性なり本質を一番知っている、その知識を持っているというのは日本なんですよ、やっぱり。その次はイギリスだろうけれども、アメリカなどはまだ全然わかっていないわけだから、どういう人種だか……。
○福田 しかも間違えますからね。
●小沢 そう。それでアメリカ人に言うんだけれど、「あなた方、長い歴史に何か変なロマンを感じて美化しているけれども、そりゃ長い歴史があることは間違いないが、そんな類の相手じゃないよ。あなた方の、たった200年かそこらの知恵で勝てる相手じゃないよ」とね、言うんだけれども。
まあ、それはそれとして、僕は先のお話のようにするなら、やっぱりアメリカが「本当のパートナーとしてこいつなら信用できる」と思うだけの役割を、日本が果たさなければね。それなのに現状は、だれからも信用がない。もちろん中国からも信用されてないし、どこからも信用されないんだから、そこがやっぱり一番の問題ですよ。
そうなると、やはり国内問題になってくるわけですね。