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第1回
一番の中心は憲法

第2回
論憲は3年、5年目には改正に着手を

第3回
首相公選制で国民に直結した首相を

第4回
新保守自由主義が中心となる価値観

第5回
日本の将来展望は明るい

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(4/全5回)
2001.03.26

【第4回 新保守自由主義が中心となる価値観】
福田和也 視点をもう少し大きく世界へと移しますが、冷戦が終わり、湾岸戦争でアメリカが唯一の超覇権国になりました。湾岸戦争で象徴されたように、アメリカの旗の下に国際社会全部が集うというような体制ができてから10年近くたちます。

 しかしここ数年、どうもそうとばかりは言えなくなってきた。かつての大英帝国に対して、ドイツ、ロシアが挑戦したようなかたちで、かたや中国があり、ロシアもプーチン大統領のもとで着々と回復しつつある。それから中東情勢も、湾岸戦争の果実がほとんどなくなった。

 要するにアメリカの一極体制が崩れつつあるというのが、全体的ないまの構図だと思います。そのなかにあって、日本はどこに足場を置くべきか。国際社会の中での見通しを教えていただければと思うのですが。

中曾根康弘 冷たい戦争が終わって、それ以後「散乱の時代」に入ったと私は言っています。米ソの大きな磁石にくっついていた鉄くずが、電気が切れて散乱したんですよ。散乱の時代に入って、みんな己のアイデンティティを探しはじめた。個人も民族も地域も国家もそうですよ。己のアイデンティティをみんな探しはじめているから、その意味で多元的な、多様社会に世界もなってきている。日本社会の内部もなっている。

 それをどう統合していくかというイデーと人材が、まだ出ていないのです。さっき言ったように端境期の影響もあってね。世界的に見て、そういう意味では人材払底の時代ですよ。

福田 イデーとおっしゃいましたが、本当に思想自体が非常に貧しくなりましたね。ヨーロッパでは、マルクスの復活などというアナクロニズムさえ横行しています。もっとも今こそが、新しい思想とか価値観が生まれる前夜なのだと思いますけれども。
 そのような見通しに立ったとき、日本の社会が立ち返るべき、あるいは基にすべき価値観とは何だとお考えですか。

中曾根 それは、新保守自由主義ですね。私は代議士に当選して以来一貫して言っています。かつて昭和20年代、30年代には右翼だとか、国家主義だとかと嘲られたりしたけれども、一貫してそれを言ってきました。

 新保守自由主義というのが思想的な中心にあって、いわゆる大黒柱となって、そして日本の思想、考え方をつくっていく。それが大事です。そういう方向に、ようやくいま動きはじめたんです。しかし、有力な中心思想家がまだいない、残念ながら。学会にそういう有力な中心思想家が出てくれるといいんですが、残念ながらごく少数で、大部分は模様眺めの中間思想です。

 政治家がその思想を受け継いで、実行行為として実践していく。そういうものなのだろうと思いますが、いま学会にその思想家がいなくて、われわれが自分でつくっているという状況じゃないですか。

福田 新保守自由主義を平たく言いますと、やはり自由主義ですから、いままでの護送船団方式みたいなかたちではなく、ある程度自由な、かつ厳しい経済的な競争を前提とするというふうに考えてよろしいのでしょうか。

中曾根 もちろんそうです。新保守という意味は、日本の歴史や伝統、文化価値というものを継承して、いいものをつないでいくということですし、そのための革新もやる。自由主義という意味においては、やはり小さい政府を中心に考えながら、開放とか、言論やその他の権利の保障、そのようなものを頭に置いてやる。平易に言えば、そういうことですね。

福田 昨今、経済が下向きになるにつれて、一方で昔ながらの厚い保護のようなものが必要ではないかという議論が出ていますね。

中曾根 もちろん一番最末端の困っている人、それをほっとくわけにはいきません。われわれの保守主義から見ても、民族のユニティとか、あるいは同胞愛という概念がありますから。そういうものはそういうもので手当てをしなくてはいけない。けれども、原則論、大きなメインストリームにおいては、いま言ったような考えで政治が進んでいかなければいけない。そう思いますね。

福田 現在の話にひきつけますと、憲法を改正するにせよ、新保守自由主義を展開するにせよ、先ほどもお話のありました政治の体制の問題がありますね。いま自民党、公明党、保守党の連立政権があり、それに対して民主党と自由党、共産党などが野党にいる。この政界の構造自体は、そのなかで変わっていかざるをえないと思いますが……。

中曾根 もちろんそうです。

福田 どのような体制がやはり……?

中曾根 先に挙げた三つの基本法とか、あるいは憲法を改正するという場合には、それを実行するだけの推進政治基盤ができなければいけない。そうなると当然、政界再編という動きがでてくる。この夏の参議院選後、あるいは次の衆議院選後ぐらいには、そういうことが現実化しなければいけない。たとえば、鳩山君の民主党を見ても、横路君と鳩山君とは憲法問題で基本的に違ってますね。

福田 まったく違いますね。

中曾根 その2人が一緒にいつづけるということはあり得ないのでね。あれは権力奪取のための便宜でやってるだけでしょう。
 しかし、政策を中心に何かをやるという場合には、あのまま続けるわけにはいかない。良心が許さないでしょう。そういう問題があるのですね。そうなると、小沢一郎君にしても、いま言ったような憲法問題とか教育問題で「大枠で一致する者は、大枠の連合勢力をつくろう」と、そういう運動になるんですよ。

 国民の側からもそれを要求してくると思いますよ。いままでは権力闘争から分裂、分離していくことが行われたけれど、今度は国民の側から「そのような政策をやるためには、統合力を出せ」と、そういう方向に変わってくるだろうと思いますね。それだけ日本がいま、危機的状況にあるわけです。しかし、そういう危機感というものはわりあいに薄いですね、いまのところ。

福田 政治家でも財界の方でも、そういう危機感をあまりもっていない方がたくさんいらっしゃる。

(第5回 へ続く)

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