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第1回
一番の中心は憲法

第2回
論憲は3年、5年目には改正に着手を

第3回
首相公選制で国民に直結した首相を

第4回
新保守自由主義が中心となる価値観

第5回
日本の将来展望は明るい

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(1/全5回)
2001.03.19

300kbps ブロードバンド映像、公開中
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いま日本と国民が目標とすべきものは何か。
混迷する政治はいかなる行程を歩むべきなのか。
政界を代表する論客・中曾根元首相が明快に語る!
(聞き手:福田和也)

【第1回 一番の中心は憲法】
福田和也 これからの10年、日本政治がどのような目標をもって進んでいけばいいのかという点についてお話をおうかがいしたいと思います。冷戦が終わり10年と少し、そしてバブルが崩壊してからも10年というような時期にさしかかっていますが、「これからの10年」という時間をターゲットとした場合、何を日本の国家目標として掲げるべきなのか、そして達成すべきでしょうか。

中曾根康弘 まず知っておかなければならないことは、いくつかのバブルの後始末が現在進行中だということです。まず第1が政治のバブルですが、短命政権が自民党の分裂以来ずっと続き、漂流していますね。ですから、いかにして政界の再編成をやり、安定勢力をつくっていくか。

 それから2番目に経済については、たしかに護送船団方式は非常に害をなしました。それに加えてむしろ、銀行家の責任が非常に大きいということを指摘しなければならない。というのは、銀行とは皆さんの汗の結晶であるお金を預かり、そしてお返ししなくてはならない仕事です。お金は昔は「お宝」と言われたぐらいですからね。

 そのお預かりしたものを投機に使ってしまった。銀行家が投機業者、スペキュレーターになってしまった。昔は三井でも住友でも代々伝えられた家訓があって、「浮利を追わず」でやってきた。そういうものを忘れ、銀行家がスペキュレーターに堕して失敗をしてしまった。いま、その後始末が一番大きな問題になっている。もちろん、それを監督しきれなかった政府や大蔵省にも責任があると思いますが、それが第2のバブルとしてある。株価が下がって困っているというのはその象徴ですね。

 そして3番目は社会のバブルの崩壊。これはディシプリン、すなわち道徳性がなくなってしまったということです。犯罪が激増し、汚職が増発した。そのうえに教育の崩壊ということがある。この社会のバブルは、どちらかと言えば一種の文明病だと私は言っているのですがね。戦後にマッカーサー司令部によって、いまの教育基本法をつくらせられ、日教組とのいろいろな抗争を経て、その結果、いまのように教育が崩壊した。

 考えようによっては、日本の伝統的な道徳とか社会規範というものが吹き飛ばされて、英国流の功利主義とか、フランスの個人主義、アメリカのプラグマティズム(実利主義)が過度に氾濫してしまった。学校教育がそれを基本に行われたと思うのです。その弊害がいま表面にはっきり出てきている。その教育を、いかに立て直すか。

 そういう3つのバブルの後始末を、いまやっている最中ですね。
 その後始末をやりつつ、日本国家の21世紀の青写真をつくっていかなくてはいけない。言い換えれば、10年ぐらいかかる設計図をつくるということですね。

福田 その中心と、順番についてはどうお考えですか。

中曾根 その一番の中心は憲法ですよ。国家像というのは憲法に出てくるのです。つまり統治権とか、あるいは内閣、国会、司法、社会福祉とか、教育、外交、国の安全保障といったものの基本形はみんな憲法へ出てきますからね。その意味で、21世紀の国家像である憲法をみんなで再検討し、新しい、いい憲法をつくる。

 それと同時に、いまある「教育基本法」の改正。時間的には、こちらのほうが先行しますがね。これは、いち文部科学技術省とか内閣の仕事というよりも、国民の草の根から直していかなければできない。文明病ですからね。そういう大きな戦略的な手を打つ必要がある。しかし残念ながら、まだ内閣はやりませんね。私は森君にも言っているけれども、そういう文明病という観点から、この教育基本法の改正という問題に取り組む必要があります。

 それから、2番目に財政構造改革ですね。いま 660兆円の国債、地方債などを持っているから問題だというけれども、しかし外国から借りているのではなく国民に持ってもらっているわけですから、あれは当分「塩漬け」にして、10年ぐらいの間に毎年毎年の赤字をなくしていくのです。建設公債と赤字公債とありますが、そのうちの赤字公債をなくしていく。

 私が総理大臣で行政改革をやったとき、土光敏夫さんに「増税なき財政再建」と言われ、それを一生懸命やったのです。あのときは7兆円ぐらいの赤字、予算不足を出していた。それを直すのに約10年かかりました。しかし、きちんとやりましたよ。

 現在も、およそ10兆円を超す純粋な赤字がある。それを10年計画でゼロにしていく。それから基本的な 660兆円に手をつけていく――そういう計画をつくる必要がありますね。10年というのは長い時間で、その間に政権の交代も好不況もありますから、軸となる基本の考え方を「財政構造改革基本法」として制定すべきですね。それをもとに、確実に推進していく。

 もう一つは、集団的自衛権を明確化する問題。アメリカが共和党のブッシュ政権になりましたから、私はますますそういう必要が出てくるだろうとみている。そのためにも、この問題は憲法を改正しなければできないのか、しなくてもできるのかということを、はっきりさせなければいけない。
 私は憲法改正をしなくてもできると前から主張してきました。

(第2回 へ続く)

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