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Part1
アジアの冷戦は終わっていない

Part2
未来が予測しがたい国、中国

Part3
日本は主体的に日米同盟の構築を

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中嶋嶺雄 元東京外国語大学学長  (page3/3)
2001.11.14

【Part3 日本は主体的に日米同盟の構築を】
 中国に関連して、日本が常に注視していなければならないのは台湾である。台湾が独立し中国から離れることは、台湾にとっても大きな課題で、果たしてそこまで踏み出せるかどうか。2008年の北京オリンピックまでは、台湾にとってもそれを決断する機会となろう。中国は断固として反対しているが、北京の地に立って世界を見ると、そう思ってしまう気持ちも無理からぬと実感したことがある。要するに、台湾が遠い辺境の地に見えてしまうのである。

 しかし現代という時代において、そのような時代錯誤はもちろん認められることではない。できれば台湾をきっかけとして、チベットや新彊ウィグル自治区、そして中国国内の同じ漢民族地域でも広東省は広東省としての自立性を持つといった、多元的な中国となりうまくソフトランディングしてくれることが一番いいと思う。それは国際社会のみならず、中国にとっても一番いいことであろう。

 しかし今のところ中国は、共産党の独裁体制による一元化、その求心力を断じて崩そうとはしていない。なんとかそれを守っていこうとしている。そのために軍事力の増強を続けている。

 とすれば、中国が「軍事力によってものごとを解決するのだ」という基本的な考え方を変えるまで、外の世界は絶対に安心していられないということである。しかしこれは日本だけではとても手に負えない。したがって、日本が安全保障問題を考えるうえでは、これまで通り日米同盟、日米安保体制が非常に重要になる。

 この頃日本では、若干アメリカと距離を置こうという考え方も散見されるが、アメリカという存在があって日本も世界も安心していられるという点にはいまだ変化は無い。議論をすることは結構だが、現実を見誤ることは許されない。いまのところ、アメリカの存在を抜きに世界を考えることは不可能である。9月11日の米国テロとその後の推移は、その現実をいっそう加速させている。

 幸いにもブッシュ政権は中国に対して非常に警戒的である。ブッシュ政権の求めるものは、日本もアメリカと一緒になって、アジアの安全保障に貢献してほしいということである。そのために、日本は集団的安全保障(集団的自衛権)の問題をクリアする決断を、早くしてほしいと要請している。

 それに対して日本は、いつも時間稼ぎでやりすごし、はっきりしたことを言わない。これは重大な問題である。今回のアメリカのテロ事件でも、特別措置法は成立させたものの、日本国憲法が集団的自衛権を禁じているという解釈は、そのままであった。しかし、テロ事件が象徴的に示すように、今のようなネットワーク社会においては、集団的自衛権の発動無しに、自国の安全も守れなくなりつつある。

 そのような時代の変化をふまえ、日本もいち早く集団的自衛権の問題をクリアし、アジアの安全保障に貢献するという意思をはっきり示さなければならない。
 アジアと日本の安全保障のためには、その決断がいまや不可欠だということを最後に指摘しておきたい。

(全文終了)

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