「カメラを持って行きましょうか」
と、前日の電話での打ち合わせで、宮本さんが言った。
「なんか、それがいい感じだと思うので」
と。
3時間ほど、上野公園を歩き、ビデオ収録をした。
そのあいだ、当たり前のことながら、宮本さんは何度もカメラをかまえた。
と、ところが、シャッターを押さないのである。
ま、まったく押さないのである。
「せっかくカメラを持ってきたんですから、もっと撮ったらいいのに」
と、けしかけてみた。何度もけしかけた。
しかし、
「うーん、なんかねぇ。どうもなぁ」
と、シャッターは相変わらず押さないままである。
(後編へ続く)