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第1回
ドットコムクラッシュをどう見るか

第2回
GEの驚異的な持続と業績

第3回
GE7つの強さ
(ポイント1、2)


第4回
GE7つの強さ
(ポイント3)


第5回
GE7つの強さ
(ポイント4、5)


第6回
GE7つの強さ
(ポイント6、7)


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portrait
(5/全6回) 2001.05.16

【第5回 GE7つの強さ(ポイント4、5)】
■ポイント4 変革のための「成長イニシアチブ」
 GEの持続的な成長を図るためのメカニズムで特徴的なことは、「成長イニシアチブ」(growth initiatives)を通じて組織を変革に向け動かすことである。

 「成長イニシアチブ」とは、GEが全力を挙げて取り組む成長のための全社業務改革プロジェクトである。GEの取り組みとして有名な「シックス・シグマ」も「プロダクト・サービス」も、すべて「成長イニシアチブ」である。

 現在、GEでは以上の2つに加えて、「グローバリゼーション」と「e-business」が「成長イニシアチブ」として位置付けられ、各事業の戦略的重要課題とされている。

 「成長イニシアチブ」は業界の競争ルールを変えることによって、GEが持続的な競争優位性を果たすための手段である。それが目指していることは、GEのビジネスモデルの変革であり、その結果としての持続的な成長である。

 例えば、ハードウエアの販売をめぐって競合他社との価格競争が激化し、マージンが減少しだすと、新たに「プロダクト・サービス」を導入して競争のルールを変えた。「プロダクト・サービス」とはITを駆使した機器トラブルの解消、バージョンアップであり、いわば「売ったあとにも利益を上げ続けるビジネスモデル」である。
 GEはビジネスモデルという言葉が経営界の流行語になる前から、ビジネスモデル・イノベーションを通じて競争優位性を発揮し続けてきた企業である。

 新しい「成長イニシアチブ」はだいたい2、3年で花開いている。先に挙げた「プロダクト・サービス」もそうであるし、有名な「シックス・シグマ」もそうである。新しいイニシアチブが決まると、すぐさまそれを3年先の中期戦略を定める「セッション1」に反映させる。このように「成長イニシアチブ」は「セッション・システム」と連動している。

 さて、ここで今のトピックスとして、GEのe-business戦略についてのポイントをまとめておこう。
 GEはインターネットをイネーブラー(ある物事を実現する手段)として活用している。戦略論の大家マイケル・E・ポーターも指摘するように、インターネットの本質とはイネーブリング技術である(マイケル・E・ポーター「戦略の本質は変わらない」、『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2001年5月号)。

 したがって、インターネットを既存業務の改革手段として位置づけることが重要である。つまりどのようなインターネット事業を行おうかと考えるのではなくて、インターネットを使って既存業務をどのように変えようかと考えなければならない。
 GEが全社的な取り組みからわずか1年で『インターネット・ウィーク』によって「e-business of the year」に選ばれたのも、インターネットを業務改革の手段として位置づけた点にある。GEがe-businessを成長イニシアチブと位置づけたまさにその点に、GEのe-business成功の秘訣がある。

 インターネットを目的とするのではなくて、変革、成長の手段とするという位置づけが成功の鍵を握っている。このように企業の成長は、時代の変化を起こす大きな力を、自らの変革に利用することから生まれてくる。

 逆に、インターネット・ビジネスを目的とした点に、あるいはインターネットの利用ありきという観点でビジネスを始めようとした点に、ドットコム企業の悲劇があったとも言える。
 新しくビジネスを始める場合には、事業アイデアがまずあり、それを実現する手段としてインターネットを利用するという発想のプロセスが大切である。インターネットそのものが初めから究極目標になってはいけなかったのである。

■ポイント5 変革のためのsocial architecture
 企業組織は「社会基盤(social architecture)」の上に成り立っている。「社会基盤」は社員間の人間関係を規定し、カルチャーの土台となる。

 GEの「社会基盤」とは「学習する組織」としての「社会基盤」である。

 GEは社内外のベスト・プラクティスの実践者から学ぶことにとても熱心である。例えば、「シックス・シグマ」はモトローラから学んだし、「クイック・マーケット・インテリジェンス」(市場情報をすばやく共有する仕組み)はウォルマートから学んだ。またGEでは社内での学習にも熱心で、航空機エンジン部門は、ハイテク医療機部門からITを駆使した製品サービスを学んだ。

 このような積極的な学習が可能なのも、学習する組織としての「社会基盤」がGEには存在しているからである。「セッション」と連動した「成長イニシアチブ」のアイデアを獲得し、社内に浸透させるためには、このような「社会基盤」の構築が不可欠なのである。

 それでは「社会基盤」はどのようにして築かれていくのか。そのための方法が「バリュー」に基づくマネジメントである。バリューとは価値観と訳されるが、行動原則、意思決定の判断基準といった方がわかりやすいだろう。

 GEでは「組織間の壁を感じさせない行動を取る」とか「出所にとらわれずあらゆるアイデアに対し、オープンで」といったように、学習に努めることが行動原則と定められている。そしてこのような原則に基づいているかどうかが評価基準となっているので、バリューの実践が組織メンバー間に徹底されている。

 社会基盤がないところでいくら知識の共有を訴えても、なかなか実行には移されない。「オペレーティング・システム」は「社会基盤」に支えられてはじめて機能することを忘れてはならない。

(第5回 終)

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