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第1回
ドットコムクラッシュをどう見るか

第2回
GEの驚異的な持続と業績

第3回
GE7つの強さ
(ポイント1、2)


第4回
GE7つの強さ
(ポイント3)


第5回
GE7つの強さ
(ポイント4、5)


第6回
GE7つの強さ
(ポイント6、7)


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portrait
(4/全6回) 2001.05.14

【第4回 GE7つの強さ(ポイント3)】
■ポイント3 変革のためのoperating system
 持続的な成長を果たすために企業が腐心すべきことは、偶然性の要素を組織からなるべく排除することである。とりわけ、「たまたますばらしいリーダーがいたから経営がうまくいった」ということのないようにしておく必要がある。極端なことを言えば、誰がトップに来てもきっちりと回る「オペレーティング・システム」(業務推進のシステム)が出来上がっていなければならない。

 確かにGEの現CEO兼会長であるジャック・ウェルチ氏は類まれなリーダーであって、彼がGEの持続的な成長に果たしている役割は大きい。しかし、ウェルチ氏一人の力で34万人のグローバル企業をマネージすることは到底不可能である。またウェルチ氏に頼りきっていては、持続的な成長は難しくなる(実際に2001年にウェルチ氏は引退する)。

 決まったスケジュールで「成長戦略の構築→競争戦略の構築→結果のチェック→戦略を実行に移す人材のチェックと補充」という一連のプロセスを首尾一貫して回すことが、ビジネスに首尾一貫性と継続性をもたらす。この点をGEはよくわかっている。特定の個人の力量に頼りきらないシステムづくり。これがGEの持続性の秘訣である。

 GEにおいて「誰がトップに来てもきっちりと回るオペレーティング・システム」とは、「セッション・システム」と呼ばれているものである。各事業は「セッション」に沿って事業を展開し、GEの本社は各事業を「セッション」を通じてチェックしている。

 「セッション」には4種類ある。3年間の中期戦略をチェック(つまり成長戦略のチェック)する「セッション1」、毎年の予算審議(つまり競争戦略のチェック)をする「セッション2」、各事業の人材チェック(つまり戦略を実行に移す人材のチェックと補充)をする「セッションC」、各事業の倫理性をチェックする「セッションD」の4種類である。

 「セッション1」と「セッション2」は企業活動のコアをなす戦略にかかわる。企業にとって戦略は、持続的な成長を実現する鍵である。戦略が決まってはじめて事業構造もマネジメントも決まる。したがって、企業は未来に向けて企業をドライブする成長戦略と、現在の市場で勝利を収めるための競争戦略という2種類の戦略を構築して、持続的な成長を実現しなければならない。

 戦略の極意は自社が強みを発揮できる分野に事業をフォーカスし、そこでビジネスモデルを革新して「業界の競争ルール」を常に変え続けながら、競合他社に対する事業の差別化を徹底することである。しかし、ビジネスモデルの変更をテコにした「業界の競争ルール」の変更は、一朝一夕にできるものではないから、中長期の展望をもって取り組む必要がある。

 そこで各事業がどのような成長戦略を構築しようとしているのかをチェックするために実施されるのが「セッション1」である。「セッション1」はビジネス単位で行われ、1日で終了する。各セッションではビジネスリーダーとウェルチ会長をはじめとしたcorporate executive staffとの間で活発な議論が交わされる。

 一方、企業はその時々の市場競争で勝利を収めないといけない。それをチェックするのが「セッション2」である。ROA、ROE、キャッシュフロー、そしてROIに関して定められたGEの厳しい財務目標を達成することが、各ビジネスには強く求められている。

 もちろんGEは財務フォーカスの会社であるから、予算執行状況に関しても厳しい。そのためにGEにはCAS(Corporate Audit Staff)という非常に優れた社内監査組織が存在し、過去の企業活動を徹底的に精査している。
 CASのメンバーは若いうちから財務に関して徹底的な英才教育を受けており(Financial Leadership Programと呼ばれる、ローテーションと教育をセットにし2年間にわたって徹底的に鍛える専門エリート育成プログラムがGEにはある)、予算執行のチェックは完璧である。

 ところで、すばらしい戦略を構築するのも、実行するのもすべてリーダーである。したがって自社の各部門にリーダーシップを発揮できる人材が十分そろっているかどうかをチェックしないといけない。そのための仕組みが「セッションC」である。

 「セッションC」とはいわば人材の「棚卸」であって、優秀なリーダーを発見、リストアップする仕組みである。これはマネジャーの業績評価ミーティング(EMSと呼ばれている)から始まるボトムアップのプロセスで、実に1年がかりで行われる。

 「セッションC」では主要なポジションごとにリーダー候補がリストアップされ、彼らはGEの共有リソースとして特別に位置付けられ、カンパニーを超えた移動を行いながらGEのリーダーに育成されていく。
 自社のどこに優秀なリーダーが存在しているのかを常にチェックしておけば、たとえ現在のビジネスリーダーがやめても(人材の流動性が高いアメリカでは、たとえGEであってもその可能性は高い)すぐに代替候補が決まるし、人材育成のための戦略的なローテーションも可能となる。

 最後に「セッションD」で倫理的に問題がないかどうかが、徹底的にチェックされる。GEは『フォーチュン』誌が毎年行っている「アメリカで最も尊敬される企業」にも選ばれているが、「尊敬される企業」は単に売り上げ、利益を上げていればいいというわけではない。企業倫理にそむいた行動がないかどうか、本社が各事業の活動を常にチェックしておくことによって、よき地球市民としての行動が徹底されている。

 経営の健全性をチェックしておくことがどれだけ必要であるかは、不良債権問題や最近の雪印の衛生管理問題が我々に教えている。失われた信頼はなかなか回復しない。だからこそ、常日頃から経営の健全性、倫理性をチェックしておくことは、企業の持続的な成長には必須なのである。

 このような「セッション・システム」がきっちりと構築されているから、GEは誰が来てもうまくマネージできる仕組みになっている。このように記すと何かGEは非常に中央集権的だと思われるかもしれないが、各セッションをクリアしてしまえば、ビジネスのオペレーションは各事業の自主性に任せられている。
 セッションを通じて各ビジネスの戦略的な意思決定を下すのがGEの仕組みであり、したがってGEの本社(フェアフィールドにある)には常設の戦略意思決定機構はない(つまり経営企画室のようなものがない)。

(第4回 終)

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