i-mediatv.co.jp
banner
justice
banner
banner
banner
banner
justice_top
第1回
まず、人ありき

第2回
1人より、2人の主要人物

第3回
独り占めでなく、分かち合え

第4回
真のインキュベータが必要

第5回
人、ビジネスモデル、差別化

Profile
title
portrait
(3/全5回) 2001.01.26

【第3回 独り占めでなく、分かち合え】
堀紘一
 それから次に重要なことは、私がこの世界に入って100社を超える日本のベンチャーの方々とお会いして、非常におもしろいことに気がついた。株式を独り占めにしている人が多いのです。

 創業者だけがごっそり株を持って上場で大金持ちになるけれど、役員や従業員はほんのおこぼれ程度という会社が多い。他の役員や従業員が40%、50%の株を持っているような会社はほとんどない。ましてや末端の従業員にいたっては、オプションたったの1株なんていう人を馬鹿にしたようなケースが多い。

 これでは社長以外の人は興味がなくなってしまうから、仲間割れなどが起こって、なかなか組織として力を出すようにはなっていない。日本の大企業のあり方も問題があるが、日本の中小企業やベンチャーのあり方は、ある意味では大企業以上に問題があります。「これではうまくいかない。もう少しみんなで分かち合うようにしなさい」と言うのですが、これがなかなかね。

 自分の会社のことになって恐縮ですが、私の創業したドリームインキュベータは、世間では堀紘一の会社だと思っているかもしれないが、私が持っている株は3割もないわけです。というのは、私はみんなで分かち合える会社にするにはどうしたらいいかを、非常に重視しているからです。それにはみんなが大株主になる必要がある。非上場の、第三者割当もやっていない今の時期でも私の持っている株は3割弱しかなくて、みんなに持ってもらっています。だから、私だけでなくみんなが「がんばろう」と思うし、うまくいったらみんなが金持ちになる。

 私はこれが21世紀のベンチャーのあり方だと思っています。楽天の三木谷君にしても彼と奥さんの持っている株を全部合わすと6割、7割になってしまうし、ガーラだって会長と社長を合わすと8割、9割になってしまう。その二つを悪い例に使っているのではなく、ほとんど全部がそうで、それが大いなる間違いだと一生懸命指導して回っているのです。

 簡単に言うと、ベンチャーは「独り占め根性」では成功しない。もう少し近代的なものの考え方ができる人、つまりシェアリング、分かち合うという心の持ち主でないとうまくいかない。だから日本のベンチャーはアライアンス(提携)がうまくいかないのです。考えてみたらすぐわかることですが、小さなピザの98%を独り占めにするより、大きなピザの半分を持っているほうが、食べられる量がずっと多いのです。

 独り占めするという精神ではなく、パイを大きくしていく。パイを大きくすれば、自分の取り分のパーセンテージは低くても、結果的には大きなものが食べられる――これがベンチャーの精神なのです。

 ところが、残念ながらこの考え方は今のところ日本の若者に少しも馴染んでいない。あるいはわかっていない。そこが大きな問題で、ベンチャーが育たない一つの原因になっているわけです。だからこの点は本当に強調したいですね。

―― その問題は、ドリームインキュベータの4つの社是の第4番目に入っていますが、私も正直言って今のお話を伺うまであまりよくわからなかったのですが、「分かち合う」という言葉がここに入っているのはそのような理由からなのですね。なるほどと思いました。株式も51%まで持ちたいというのは、いろいろな防御の意味もあって多少は理解できるところもありますが、6割、7割は確かにちょっと多いかもしれませんね。

 50%+1株ないと防御できないと言うけれど、そんなことでないと防御できないような会社だったらやめればいいんだと思いますね。

 私に言わせれば、立派な目的を持ってすぐれた方法論を掲げたら、周囲もおのずとその人を中心に「やろう」という話になるわけです。それを「株式で支配しよう」という心がけでは、そもそもベンチャーにしてベンチャー精神がない。そんなのは自民党の親父にやらせておけばいい(笑)。なんで今から明日の日本をつくる若い人たちが、そんな自民党の古狸のような手法でものを考えるのか理解できない。

―― 今のように教えてあげないといけないのですね。

  一生懸命教えているつもりだけど、教え方が下手なのか、なかなか言ってもわかってくれない人もいます(笑)。

(第3回 終)

page_jump
justice i-mediatv.co.jp