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目  次

Part1
ひと月百冊を読み、三百枚を書く

Part2
限界まで働かずに、何の甲斐があるのか

Part3
本を読むときに大切な「こころ構え」

Part4
「読む」とは何か

Part5
ページを「折る」

Part6
「抜き書き」の大きな効用

Part7
テレビに情報価値はない

Part8
新聞は朝日、産経、ヘラトリ

Part9
中西輝政先生の情報収集術

Part10
自分の「情報戦略」の見直し

Profile
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portrait
福田和也 文芸評論家・慶應義塾大学助教授(6/全10回)
2001.05.31


【Part6 「抜き書き」の大きな効用】
 ですから、抜き書きの利益は、ただメモとして有用だということに止まりません。

 よく質問を受ける、難しい文章を読んだり、速く読んだりするためにも、抜き書きはとても役に立ちます。
 誰にでも、ある著者の本が読めない、いくら読んでもわからないということがあります。

 普通は、そういう本は、表現力が稚拙なのだ、と切り捨てて構わないのですが、しかし必要上どうしても、読まなければならない時もあります。
 そういう場合にどうしたらいいのか。

 文章とは一体何でしょう。
 ごく大雑把にいえば、文章は、書き手が考えている(感じている)ことを、文字に写したものです。

 だとすれば、文章がわからない、ということは、すなわち、書き手が何を考えているか分からない、ということになりますね。
 逆にいえば、何を考えているかが分かれば、文章もわかるはずです。

 ではどうすれば、書き手の考えが分かるのか。
 抜き書きは、書き手の考えを理解する上で、とても役に立ちます。
 もちろん、ただ写すのではなく、書き手になったつもりで、大袈裟に言えば憑依をして、書いて行かなければなりません。

■抜き書きは、書き手の考えを理解するのにも有効。

写真は、筆者が抜き書きに使用している筆記用具。

 楽器を習ったことがある方はお分かりになると思いますが、ギターなどを練習する上で、好きなミュージッシャンのフレージングなり、手癖なりを真似た、つまりはコピーした体験があると思います。

 そういう形で、ギターを真似ると、ただその曲を弾けるようになるだけではなく、元の演奏者の和音に対する解釈とか、分解の仕方が納得できるような気持ちになったことがあると思います。

 文章もまったく同じです。
 抜き書きをする時に、一つ、一つの言葉、形容詞や助詞、動詞などが、どのように使われているか、論旨を前面に押し立てていくのか、遠まわしに語っていくのか、むしろ読者に発想させるように、語っているのか。

 というようなことを考えて書いていけば、ただ、目前の文章を写すことが、六弦を押さえて、凝った和音を鳴らす、モダン・ブルースのコピーとまったく変わらない、むしろより以上に困難でデリケートな作業だと分かるでしょう。

(Part6 終)

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