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目  次

Part1
ひと月百冊を読み、三百枚を書く

Part2
限界まで働かずに、何の甲斐があるのか

Part3
本を読むときに大切な「こころ構え」

Part4
「読む」とは何か

Part5
ページを「折る」

Part6
「抜き書き」の大きな効用

Part7
テレビに情報価値はない

Part8
新聞は朝日、産経、ヘラトリ

Part9
中西輝政先生の情報収集術

Part10
自分の「情報戦略」の見直し

Profile
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portrait
福田和也 文芸評論家・慶應義塾大学助教授(5/全10回)
2001.05.31


【Part5 ページを「折る」】
 読むことを中断して書いていると、集中力が途絶えてしまう。
 では、どうすればいいのか。

 私は、不細工かもしれませんが、メモを取ろうと思ったところ、あるいは引用しようと思ったところのページを折っていきます。
 折るだけで、メモはとらない。

 そして、読了すると、今度は折ったところだけを、もう一度読み直す。
 そうすると、何で折ったのかわからないところも出てきますが、それは放っておけばいい。もちろん、折った時は大事だと思ったけれど、通読してみた後では、たいしたことはないところも、放っておく。

 それで、もう一度読んで大事だと思ったところは、今度は下のところを折っていくのです。
 そこで、数箇所折ったらば、ノート、あるいはメモ帳を出します。
 そして、メモ張に、下を折ったところを書き写し、コメントをメモする。

 この、書き写すというのが、とても大事なことです。
 たしかに、利便性だけを考えれば、そこの情報なり、論旨なりを抽象して書けばいいのかもしれません。
 けれども、実際にテキストを引用しておくというのは、とても大事なことです。

 まずは、引き写しておけば、いちいち、本にあたる必要がなくなる。つまりは原稿の校正をする時までは、ノートを手元においておけば足りる。
 そして、もう一つ大事なのは、写すことによる、発見や理解が必ずあるのです。

■筆者が実際に使用している抜き書き用のノート。

 もちろん、後で原稿に使うことを考えれば、パソコンに入力した方がいいのです。
 今は、OCRなどのいいソフトがありますから、スキャナーを使えば簡単にデータとして取り込むことができます。

 でも、手書きで、抜き書きをした方がいいのです。
 やはり、手を動かすというのは、生理的にキーボードとは違う部分がある。

 私は、原稿はかなり前からずっとワープロを使っていますが、抜き書きは、一時期から手書きに戻しました。というのも、手で書き写していると、いろいろなことに気がつくのですね。脳が違った動き方をするのでしょうか。

 気がつくと同時に、いろいろな考えが湧いてきます。
 そこを抜き書きすることで、自分が何を示そうとしているのか、語ろうとしているのか、ということが、はっきりした輪郭をもって運動を始めるのです。

 ですから、抜き書きをすることは、実際の原稿を書く上での準備作業にもなります。
 そこで考えた事が、原稿に直接に反映しなくても、書いていく上での、さまざまな思考の触媒になってくれるのです。

 さらには、抜き書きをすることで、書き手についての理解が深まります。
 どういう発想をし、どのような論理構成を用いているか、というようなことが、抜き書きをしてみるとよく分かります。

(Part5 終)

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