【Part4 「読む」とは何か】
さて、話がいささかわき道にそれましたが、まず読むべき本を、どうやって手に入れるか、というところまでは話しました。
これで、ようやくあなたは、本を手にとり、実際にページを繰って読んでいくわけです。
読みだす以前に、その本に対する見当は、だいたいついています。
もちろん、何のために読むか、という目的もしっかりしている。
となれば、最初から読んでいけばいい、という訳ではないことはお分かりですね。
無論、小説のように、最初からずっと読んだ方がいいものもあります。
しかし、学術書などは、たいていはその必要はありませんし、文学作品も資料として扱うならば、その必要はないのです。
全体を読むべき本もありますが、そのすべてが、あなたの目的にとって役立つとはかぎらないのです。
ここで、大事なのは、目的を拡張しないことですね。
つまり、もしもあなたが、『赤と黒』を、フランスのサロン文化を知るために読もうとしているならば、そこに目的をしぼらなければならない。
自然描写とか、乗馬とか、ほかのことに気をとられてはいけない。
さらには、これはとても残念なことですし、困難なことですが、小説を読む愉しみに身を委ねすぎてもいけません。
今、あなたは、文章の材料として、『赤と黒』を読んでいるのであって、小説作品として楽しむのは、別の機会にしなければならないのです。
で、テーマをしっかり限定した上で、以前につけた「あたり」の感触を思いだしながら、有用なところをさがして、読んでいきます。あとがきから読んでもいいし、書き出しが最後になっても構いません。つまらないところを飛ばすのは、当然のことです。ただ、一応、全体の流れなり文脈なりを汲んだ上でのことですが。