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Part1
覗き見って好きですね

Part2
フィクションにしか関心がない

Part3
その気になりやすい質なんです

Part4
導くべき場所はありません

Part5
ミステリーは懐かしい友だちに会う場所

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(5/全5回) 2000.12.13  

【Part5 ミステリーは懐かしい友だちに会う場所】
―― でも、そういうコクというか、複雑なものを求めている人っていうのはいると思うんですよね、やっぱり。分かりやすいだけの小説というのは、他にもあるわけですから、それは。
 ところで、ご自分では結構、本を読まれますか? 小説だと月に何冊ぐらい読まれますか?

江國 読みます。でも、もうここ5、6年、一番たくさん読むのは、海外のミステリーなんですね。それは読むはじから忘れちゃうものも多いんですけど。読んで忘れないような小説は、どうだろう、月に3冊ぐらいですかね。

―― 失礼ですが、海外ミステリーって、どういうのがお好きなんですか?

江國 海外ミステリーは、ほとんど何でも読みます。一番、アメリカのものが好きです。

―― 作家の名前を挙げてもらうとすると?

江國 えーと、ね。ジョン・サンドフォードが最近面白かった。それから、フェイ・ケラーマンとか、T・J・マクレガーとか。もっと古いものも好きです。フレドリック・ブラウンとかクレイグ・ライスとか……。

―― 忘れてしまうっておっしゃったけれども、純粋に娯楽として読むんですか。

江國 そうですね。多くのものがシリーズになっていますよね。だから、読み出せば別の場所に瞬時に行ける、懐かしい友だちに会える感じ。
 仕事をしていても、1日に2時間ぐらい読む時間があると、それはちょっと遊びに行ける場所として、とてもいいですね。

 

―― さっきおっしゃった、最近の忘れない3冊のほうを挙げていただくとどんなものがあります? 

江國 ここしばらくだと、カーヴァーの新しいものとか、それから、金井美恵子さんの絵本のエッセイだとか、それから何があったかな……ああ、思いっきり、思いっきり違うんですけど、『アウトサイダー』を初めて読んだんです。

―― コリン・ウィルソンの。

江國 はい。そうですね。
 名前だけ知っていて、どういうものかも何となく想像できなくはなかったけれど、実際には読んでないというものが結構あるので、そういうものを、ときどき、読むと面白いですね。そういうものって、時間にちょっと余裕があるときでないと、手を出しかねるんですけど。
 それから最近、マチスとピカソの本を読んで、それもとても面白かったですね。

―― そうすると、本当に何でも読まれるという感じなんですねぇ。

江國 そうですね。ホラーとSF以外は、何でも読みます。

―― 江國さんが子供の頃、お父さんから読書について何か言われたことがありますか?

江國 うちでは父は絶対の立場で、小さい頃は私も父が言うことが絶対に正しいんだと思っていました。父が面白いと勧めてくれる本は面白いと思って読んでいたし……。

 私がいくつぐらいだろうな、小学校低学年のころだったと思うんだけど、父から内田百フの『王様の背中』を面白いから読んでみなさい、と渡されたんです。

 ところが、それが面白くなかった。で、父に「どうだった?」って言われて、「あんまり面白くなかった」って言ったら、「我慢してもう1回読みなさい」って(笑)。

―― そうですか、大人は強いですね、やっぱり。

江國 「我慢するの?」って言ったら、「我慢も大事なんだ」「面白いと思うまで、何回も読みなさい」って言われたのは、すごくよく覚えてますね。

―― 僕にも娘がいて、娘はかなり本が好きなんですよね。
ですけれど、僕とは意見がことごとく違うんですよ。

江國 おいくつですか?

―― 今、中1です。彼女が好きな作家について、僕は間違ってると言って、なぜこれに感動してはいけないかっていうことを、説教しているんですけど、全然説得されないんですよねぇ。

江國 いいな、いいですね、それ、すごくいい、すごくいい。

―― 「偽の手紙とかを冒頭に書くときには、こういう書き方をすると失敗なんだ」とかね、そんなことを言うんだけど、「いや、でも、お話として面白いから」とか言って(笑)、いやになっちゃうんですよね、うーん……。

江國 それ、すばらしいですね。

―― そういえば、辻仁成さんとパラレルに書かれた『冷静と情熱のあいだ』が、今度、映画化されるって伺いましたけど。

江國 そうなんです。昨日、その打ち合わせだったんですけど。来年公開だそうです。
 あおいの役は、ケリー・チャン。順正役が竹野内豊さん。
 マーヴとか他の人は未定だそうです。

―― でも、2つの物語ですから、映画も2つつくることになるんですか?

江國 いえ、1つに。

―― あの2つの話を合わせるんですね。

江國 そう。いったいどうなるんだか分からないんですよね。
 でも、イタリアロケを敢行して、大々的にやってくださるそうです。
 ただ、登場人物の使う言語が入り乱れるじゃないですか、日本語とイタリア語と英語と。それが邦画として1本のものをつくるときには難しいと言われました。
 ただ、私は、マーヴのアメリカ人国籍には、ちょっと譲れないところがあって、そこはまだこれからなんですけどね。

―― 映画化についても、やっぱり、ここは譲れないということは通したいと思われますか?

江國 今回は、それだけですね。今まで2つの小説が映画化されたんですが、それは全く、もうお任せしたんですけど。今回のマーヴに関してだけは、ちょっと譲れないかな(笑)。でも、映画は楽しみにしています。

(全文終了)

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