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第1回
日本的リベラルのあり方

第2回
国家をどう見るか

第3回
憲法第9条をどう見るか

第4回
パワー・ポリティクスをどう見るか

第5回
アジアとの関係をどう見るか

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(3/全5回) 2000.11.29

【第3回 憲法第9条をどう見るか】
宮崎哲弥 そのお立場はわかるんです。あえて論点を際だたせるために突っ込ませていただきますと、そうは言っても憲法は国家の基本法ですよね。ところが解釈する人によって立場が大きく分かれてしまうでしょう。集団的自衛権にしても、現行憲法でも認められているという解釈をする人もいれば、個別的自衛権すらはっきりと容認しない立場の人もいる。

 だとすれば、憲法という法典の重さを考えれば、国論を統一したうえで、より解釈の余地の少ない法文に改めるという方向に行くのは筋ではないかという、いわば「筋論」が成り立ちますが、その点はいかがお考えですか。

枝野幸男 日本が国外でPKO、PKFをどこまでやることが国際社会で求められているのか。あるいはどこまでやるべきなのかという議論が、わが党内はもちろんですが、日本全体としてもまったく進んでいませんね。

 それは第9条があるから進んでこなかったという歴史的な経緯があるけれども、まずそこに結論を出さないと、9条をどうするかという結論は出せないと思うんです。なぜかと言うと、9条を変えることが目的ではないわけですから。

宮崎 もちろんそうですね。

枝野 今の日本が求められている、国際社会における軍事的な貢献ということでは、憲法の枠内でもできることがたくさんある。憲法を変えないとできないことまで求められているのかどうか、その問いにはまだ結論が出ていないと思うんです。

 憲法で禁止されているところまで国際社会から求められ、そのことがわが国の国益にもなりということであれば、その時に初めて憲法改正ということを始めればいいのであって、まず先にそちらの結論を出すべきではないでしょうか。

 鳩山さんの真意も本当はそこに一番あって、憲法があるから議論しないのではなく、憲法に関わらず「どこまでやるべきなのか」をまず決めるべきである。その結果、変えるか変えないかという議論をしましょうという、本来あるべき論理構成ですよね。

 しかし、そこに戻してから議論を始めるべきだという認識が、浸透していない。それは民主党内だけではなくて、日本全体がそういうレベルなんですね。
 後で述べるように、結論的には私は今の第9条のままでいいと思っているのですが、その前に、9条に関わらず「どこまでやるべきか」をまず決めるべきです。

宮崎 現行憲法の解釈の範囲内で、先ほどおっしゃった近隣地域の安全への貢献など、すべてがクリアできると?

枝野 集団的自衛権まで、今の憲法でもやろうと思えばできると思います。私はもともと弁護士で、しかも憲法専攻なんですよ(笑)。こういう出自の人は大きく言って二つに分かれるのですが、一つは条文金科玉条のタイプ。逆に私は法も憲法も所詮道具だと思っていますから。

宮崎 道具というのはまったく正しい。そこは私も大賛成です。

枝野 まったくの道具として憲法を読んだ時に――歴史的ないろいろな経緯はまったく白紙として読んだ時に――もちろん自衛隊はダメとも読めるけれども、集団的自衛権まで否定しているという読み方もできないと思っています。そこは政策判断で、そこまで必要だったらやればいいし、必要ないと思ったらやらなければいい。むしろ問題は、硬性憲法、硬い憲法……。

宮崎 改正が難しい憲法ということですね。

枝野 改正が難しい憲法というのは、こういう憲法をつくった以上は、幅をもって解釈をするのがそもそもの前提です。だから、それでいいんじゃないかと思っているんですけど。

宮崎 先ほど、アメリカに対する軍事的な依存度を低めていくとおっしゃいましたね 。そのことと最低限の軍事力でやっていくということとのあいだには、矛盾があるような感じがしますが。

枝野 たとえば、今すぐ日米安保がなくなったら、今の自衛隊は相当大幅に増強しなければいけないですよ。国際社会のパワーバランスから言ったら。その意味では矛盾すると思いますが、逆に日米安保があって、米軍が大量に日本に駐留している状況の中では 、日本の国土内にある軍事力のトータル数を大幅に減らすというのも不可能ですよね。

 でもそれをいったん置いて、本当にわが国の国土と国民を守るために、最低限必要な軍事を我々自身で決めようと思った時には、どうでしょうか。他国の軍隊に依存していないという素直なところからスタートするということですね。

 たまたま50年間も日米間はあまり利害対立なく来ましたが、これからも本当にそうなのかと考えた時に、日本にとって唯一信頼できる同盟国はアメリカだけという選択肢では、本当に「国益」を守りきれるのか。
 もっといろいろな選択肢の中から考えてみると、という流れの中で、一番小さな軍事力は十分考えうるのではないかと思います。

(第3回 終)

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